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三の丸尚蔵館所蔵の明治美術を系統的に紹介するシリーズ「明治美術再見」の第3回展を開催いたします。 今展では,前回に引き続き“日本画”に焦点を合わせて,明治30年代から大正初期にかけて描きあらわされた作品の数々を紹介します。この時期は,一般には,保守派の日本美術協会系の画家たちがひたすら伝統墨守の立場をとり続けて衰退していくのに対して,東京美術学校系の日本美術院の作家たちが若々しく急進的な活動を展開して,今日につながる近代的な絵画表現を開拓進展させた近代日本画の確立期ととらえられています。そして,以後の“日本画”の歩みは,もっぱら日本美術院と明治40年に開設された官設展を二大潮流と位置づけることで語られ,日本美術協会の画家たちの活動が顧みられることは,これまでほとんどありませんでした。しかし,実際に残された作品をみると,“旧派”の画家たちもまた,新しい時代の流れの中で自己の画風の革新をはかる努力を試みていたことがわかります。それは,表現こそ異なるものの,日本美術院や官設展の新潮流と正しく同時代動向であったのです。 本展は,このような観点から,日本美術協会系の画家を中心としつつ,下村観山や橋本雅邦ら院展系の作家や中間派と称される川端玉章の作品等をあわせた多彩な形状の計37件の収蔵品を展示することで,明治後期から大正初期の近代日本画の特質の一断面を改めて探ろうとするものです。本展を通じて,近代日本画の青春期の息吹に触れていただければ幸いです。 展覧会図録(PDF形式:61.6MB) |